『季節の記憶』


季節の記憶 (中公文庫)

季節の記憶 (中公文庫)


カンバセイション・ピース』に引き続き、読んでみた。

最近はまっている保坂和志


鎌倉を舞台に、父と幼い息子の二人暮らしを中心に、近所に住む兄妹との交流や、ときおりやってくる友人たちとのかかわりをつづっている。

突拍子もないことはなにも起こらないしストーリーもないし淡々とのんびりと人物たちが過ごしている様が描かれていくだけなのになぜこんなに面白いと感じるのか。
それはリアリティの欠如かもしれないと思いました。
リアリティがないお話なんていくらでもあるけれど、これは違う。
一見ありそうだけどやっぱりなさそう。そんな人間や人間関係がよいのです。


最初、この著者の文章は読みにくかったのですが
(その証拠に『カンバセイション・ピース』の冒頭の二ページで断念し、半年くらいは放置して、そのあと読んでみたら面白かった)
今ではすらすら読める。
この文章における型を掴んだっていうことなんでしょうね。