カンバセイション・ピース(続き)
- 作者: 保坂和志
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2003/07
- メディア: 単行本
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つ い に!
あおるほどのものじゃないけど(ほんとに)!
『カンバセイション・ピース』を!
読了しました。
これを読んで私は今まで持ったことの無い小説に対するスタンスを受け取ることができて
非常によかったです。
登場人物たちが皆幸せそうで、私も読みながら自分は幸せだと思いました。
主人公は野球(横浜ベイスターズ)と飼い猫を愛する、ごく普通の作家です。
彼の思考方法は、『小説の自由』を読むと分かるように著者自身とほぼ同じと言えなくもないですが、小説という形で整理されている本書のほうが入りやすく、面白いです。
ペットを愛したことがまったくない、というか、犬も猫も飼ったことない私が「それは飼ってる人にしかわからんね」と放棄する気持ちにさせず、かといって「猫ってこんなにかわいいんだ!」と同調するわけでもなく、「猫が好きなのね。」という感じ。
なにを見ても誰の声を聞いてもとにかくひたすら物事に対する真摯な視線というか、考えを持ち続けて掘り下げていくので、それは無駄なことのようにみえて、実は私もやっていることなのかもしれないと思いました。でもそれを人に話すことはないのに、主人公はけっこう自分でも考えかけの抽象的なことをその場その場で人に話すので、そこが彼の開けているところなんでしょう。
私はかなり閉じているのでこの開けている家が幸せに思えるんでしょう。
なにげないことでもそのなにげなさを「それこそが幸せ」みたいに演出するところまでいかずに
ただただ本当にそのまんま幸せなのがこの作品。
かわいがっていたチャーちゃんという猫が死んだ時のことや、悲しみに暮れていた頃を主人公が思い出すこともあるけれど、その文章すら哀しみというより幸せが漂っている。はう。なんだなんだこの幸せまみれのムード。
そして、
間をあけたり、ゆっくり読んだりした本は、
長い間その時間にひたっていられる。(読む時間は計算すれば同じだとしても、読み終わるまでの時間が単純計算で長い)
贅沢で、ご満悦です。
「家にはかつてそこに住んだ人たちの気配がいつまでも残るものなのだ」
↑ ちょっと引用してみました。