まんげつのよるに


まんげつのよるに (あらしのよるにシリーズ)

まんげつのよるに (あらしのよるにシリーズ)



映画が控えている絵本、『あらしのよるに』シリーズは、6巻で完結していた……はずだったのですが、完結編として第七巻が出ていました。


オオカミのガブと、ヤギのメイ。ふつうは決して相容れることない二匹の友情を描いた作品です。
私は、高校時代に学校の図書館にリクエストして全巻購入してもらい、一気に借りて持ち帰り、ほくほくと読んだ、思い出深い一作。


で、七巻を読んでみました。

以下ネタばれ注意。

















この七巻に関しては、賛否両論だろうと思います。一回きちんと完結している作品を、人気があったからとか、読者の続編希望などによって、続編を書いて物語を補完させた、という感は否めません。


六巻の終わりで雪崩れにのまれ、死んだかのように見えるガブ。でも作者は、ガブが生きているのか死んでいるのかを、話の中で明確に示してはいません。生きている可能性も、多少ながらあります。

私は、七巻の内容がどんなものであったとしても、補完する必要はないと思います。六巻のラストでは、悲劇のようで、雪山を越えたら緑の里があったという希望を示してもいます。その結末の後、メイがどうなったか、ガブは本当に死んだのか、等といったことは、明示する必要がなく、そのあとのことは、読者(子ども)の想像力にゆだねる。想像の余地のある物語が、この作品の魅力だったのです。なので、結果をすべて示されてしまったことが、なんだか拍子抜けなのです。

もとはといえば、
第一作目の『あらしのよるに』だけを読むと、そのラストの後に残るこれからどうなるのだろう!という『想像の余地』は、第六巻を読んだあとよりもずっと深いものがあります。

絵本は、まず世界観の提供をして、読者になにかを想像したり考えさせたりするきっかけを与え、あとは子どもに受け渡して、作中では答えを示さないことが、大事なのではないかと思っています(絵本に限りませんが。)